我が家のある伏菟野は、田辺湾に流れ込む会津川の源流近くに位置し、山あり谷ありの六十数所帯の小さな集落です。
雨が降るなどの天候が下りのとき、我が家から見える西側の谷間に雲がかかり、まるで水墨画のような風景が広がります。私はその風景が大変気に入っています。
その幻想的な風景とは裏腹に雨が降ると困った問題が生じます。
以前にもお伝えしたと思うのですが、伏菟野は上水道が無く、住民はみんな谷水をいただいています。我が家も、家の横を流れる谷水を引いています。だから水道代はいりません。
その話を聞いた大阪の友人から「洗い物なんか大変やねぇ」と言われたことがあります。
最初は何のことかわかりませんでしたが、家の中に蛇口がないと思ったようで、まるで時代劇に出てくるような生活ぶりを想像されてしまったようです。
実は、雨が降ると谷水が濁ってしまい飲み水として適さなくなってしまうのです。その対策として、家の中には2種類の蛇口があるのです。
ひとつは谷水を直接引いた蛇口です。もうひとつは谷水を家の裏のタンクにため加圧ポンプで送られてくる蛇口です。
同じ谷水なのに何故そうしているかわかります?
ヒント:雨が降ると加圧ポンプで送られてくるほうは飲み水専用になります。
雨が降ると一番にすることは、タンクに入ってくる谷水の給水をストップします。雨が降り止んでも、谷水の水量が通常に戻るまで給水しなければ、濁り水は混じらない訳です。
谷水を直接引いた蛇口は、お風呂場、洗濯場、台所、トイレの四ヶ所です。田舎暮らしですが、トイレは水洗でシャワー付きなんです。この水道工事は全て私がしました。
高校時代の友人でこのニュースレターの愛読者でもある井上芳光君が、彼自身が十年前の淡路・神戸大震災で被災した時「一番困ったのはトイレの水だった」といった言葉を思い出します。
最初、トイレもお風呂場も加圧ポンプからの水だったのですが、雨が降って給水をストップしたとき、タンクの水が直ぐになくなってしまったのでした。そんなことがあり大慌てで水道工事をしたのです。お風呂と水洗トイレですごい量の水を使っているようです。
私のところは、年中流れている谷水(それも天然のミネラルウォーター)を使えるので大変ありがたいのですが、雨が降ったときなど、水の大切さを実感させられます。
世界中の人々は大変な水不足だそうです。石油の次は水の奪い合いで戦争が起きるかもしれません。ニッポン人は恵まれたことに1日何百リットルも使っています。
しかし、この村の人たちでも雨が降って水が濁ることに文句を唱える人もいます。欲を言えばきりが無いのでしょうが、ある面では満たされているということを実感できないようです。
それとこのあたりでもオール電化にする人たちが増えています。
しかし、我が家の暖房はもっぱら薪ストーブと火鉢で、お風呂も薪で沸かしています。お風呂を沸かすのに、少し前まで燃やし始めは灯油バーナーで火を点けていたのですが、最近は新聞紙を丸めてマッチで点けています。子どもたちも出来るようになり、よくお手伝いをしてくれます。
ストーブやお風呂の薪は梅やみかんの剪定枝や製材所からもらっているヒノキ、火鉢の炭は知り合いの炭焼きさんからもらっている備長炭です
凄いでしょう。
このあたりは備長炭の発祥の地なんですよ。
しかし、このあたりの人もオール電化にする人は増えています。我が家のように薪や炭でお風呂や暖をとったりする人のほうが珍しいのかもしれません。
私は、『足るを知る』という言葉が好きです。
続きは次回。
売れる広告プレゼンター・高橋英明